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特定非営利活動法人さんりく・こすもす

里見 節子 /岩手県大船渡市

里見 節子

事業概要

一義的には、先述のように、高齢化が進む市内の障害者(特に精神障害者)の介護ニーズに対応することを基本とする。また、施設への入所が必要な高齢者は多くがすでに市外に移住、あるいは別施設に入所しているため、特に通所サービスへの需要が残され、従来サービスを提供してきた小規模な事業所は被災後の復旧のめどが立っていないケースが多い。このため、こうした通所型の介護ニーズに早急に応えるとともに、独居高齢者のショートステイや訪問などの他機能へのニーズも視野に入れ、障害者も利用することのできる小規模多機能型居宅介護の開設を目指したいと考えている(ちなみに、障害者の利用は昨年6月の厚労省省令によるものであり、まだ実際の事例はきわめて少ない)。
また、事業所閉鎖によって失業した介護職の方の再就職を促進するとともに、無資格でも就業できる小規模多機能型の特性を活かして、新たな雇用の機会を創出し、地域コミュニティにおける介護人材の育成にも資することができる。
さらに、仮設住宅から外出し、地域住民も互いに安否を確認できるよう、介護保険対象者に限らず、地域コミュニティが集うことのできる場づくりにも活かしたい。

なお、今回協力を得る練馬区側の体制は、ハード・ソフト両面から専門家を整えて具体的な支援提供が可能であり、事務的な手続きをはじめ、社会資源の活用方法についても具体的に支援できる。また、環境が整えば、事業所を設立する場所における土地調査や土木作業、施設建築等に関わる仕事にもつながることから、他業種の人にも仕事を創出することが可能である。当該地域において、被災者の生計の自立、雇用の創出、介護人材の育成及び地域コミュニティへの貢献となる事業にしたいと考えている

事業を始めたきっかけ

利用者の8割は精神障害のある方で、岩手県立大船渡病院精神科等から退院しそのまま利用される方が多く、障害の特性か、ほとんどの方が家族とは疎遠になっている。また、長い間の入院で、60歳近くになって退院される方が多く、利用者の最高齢は70歳、平均年齢は60歳を超えている。
このように利用者が高齢化し、日中活動に通うのも次第に難しくなってきているが、一般的な介護事業所の精神障害者の利用は困難なのが実情である。このため、自ら事業所を設置し、利用者の皆さんが暮らしなれた環境の中で、障害者と高齢者の別なく生活を支える取組みを行いたい。

また、被災による人口(特に高齢者人口)の流出などにより、新たな介護保険計画の策定(=介護サービス受給の量的推定)が困難を極める中、震災による直接的な被害に加え、特に仮設住宅での生活において、高齢者の身体・精神の健康が悪化するような事態はなんとしても防がなければならない。

そのための事業を地域住民の力で立上げることは地域の自信と安心につながり、また、介護保険制度を活用することにより、安定的で持続可能なモデルになると考えている。
なお、これは、不幸にも大震災の被害を受けたために東北で考えることとなったが、従来行われてきた大型の複合福祉施設による福祉環境の整備が財政的にも困難となる中、中山間地域や離島地域などを含む、日本国中の地方部における福祉政策の今後の方向性を示すものになると考える。障害者も対象者となり得る小規模多機能型居宅介護の特性を活かし、多様な人たちが暮らし慣れた地域の中で互いに支え合いながら住み続けられる地域福祉の具体的なかたちを提案したい。

プロフィール

以下のような経緯で、20年以上、障害のある人々と共に生きる活動を行っている。
1.4歳年下の妹が知的障害、自らが先天性心臓病という生い立ちをもち、24歳の時出産した長女が出産時の事故で知的障害を負った。
2.平成3年に長女の通う養護学校の母親の会を発足。子供たちが学校卒業後の働く場と暮らしの場を作るための活動を開始した。
3.平成14年4月、はじめての事業、「精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)」を開始(5名)。同時に日中活動の場として、無認可で作業所を設置した。(6名)
4.平成18年4月、自立支援法のもと、共同生活援助介護事業に移行。作業所は就労継続支援B型事業として改めて開始した。現在、利用者はケアホーム20名、B型事業所30名となっている。

【ひとことコメント】
今一緒に過ごしている障碍を持っている方と津波で故郷を流されてしまった方の 両親がいなくなった後、家に帰れない親なき人の面倒を誰がみるのでしょうか? 最低でも、今まで住んでいたところ、「故郷」に戻れることを大事にしたいです。 障碍者の方の故郷に施設ができることによって、街の活気づくりをできればと思っています。